未来を左右する不動産投資
担保や保証をとっている場合、現在支払いの催促をしているか、たとえ少額でも払っている場合、債務者が所在不明の場合、支払い能力はなくても事業は継続している、債務者に対して追加融資をした場合、他の債権者に対して支払いの事実がある、社長の個人資産が相当ある、債権者が役員を派遣し再建の意図がある場合。
このうち一つ目について説明しましょう。
この場合、担保物件を実際に処分したあとでないと、貸倒損失を計上できません。
処分価額を評価鑑定書などで調べて、たとえ担保資産の価値がゼロに等しくても、実際の処分が必須条件です。
抵当権が相当後順位のため名目的であり担保価値がゼロの場合は実質で判断してもらえますが、若干でも担保力があった場合には担保をはずすことも検討したほうがよい場合があります。
保証についても同様で、保証人の支払能力等を吟味する必要が出てきます。
いままでのところで、会社の判断で実際回収は無理と思っても、税務上貸倒損失処理できる方法はかなり狭いことがわかります。
しかし、法律的に消滅したり、一〇〇%回収不能にいたらない段階でも貸倒損失を計上したいのが会社の希望です。
このような要望に応えるのが、「債権償却特別勘定の認定申請制度」(個別申請と呼士です。
これは、税務署に回収不能であることを申請して認定されれば回収不能金額を貸倒損失に計上できる(債権の部分貸倒れを認める)制度で、いまやこの制度なくして貸倒処理はできません。
認定申請のタイプ=次の二通りの認定方法があります。
決算日までに認定を受け貸倒損失を計上する。
決算日までに申請をして、貸倒損失を計上するが、認定手続は決算後となるため税務署が認めなければ修正申告する。
申請できるケース=債務超過が相当期間続き、事業好転の見通しがたたないなどの理由で債権額(担保価値を控除しない。
割引・裏書手形を含む)の約五〇%以上が回収不能となった場合。
バブル崩壊後の取り扱いとして次の運用通達が出されています。
この「相当期間」はおおむね一年以上とし、その債務超過になった事情と将来の事業好転の見通しに基づいて判定する。
債権額の回収不能額の判定についても、五〇%ではなく四〇%を下限とする。
回収不能額の算出は担保物件の処分や保証人による支払可能額をマイナスすることになっているが、保証人が行方不明、保証人が取引停止処分を受けている、保証人の年収がきわめて少額(債務額の五%未満)等のその他の形式要件があれば、保証人の支払可能額を考慮しなくてよい。
担保価値を超える債権額については回収見込みがなく、担保物件の処分に日時を要する場合。
国外からの利子・配当が外貨事情ですでに一年以上遅れ、今後二年以内の回収が無理な場合。
提出書類=「債権償却特別勘定繰入額認定申請書」に必要事項を記入し、さらに添付書類として下記の書類を提出します。
しかし、この添付書類等の準備が大変なところから中小企業がこの認定制度をあまり利用していないといった声も聞かれます。
債務者の倒産に至った経緯と現況、債権額の明細と立証する書類(例・内容証明による催告書、請求書、物品受領書、契約書、手 形等の写)、回収不能額の計算根拠資料および書類(例・担保関連書類、担保物件評価鑑定書)、取引先の支払能力を判定する書類(例・決算書、信用調査機関の調査資料、新聞等の報道記事 等)、その他参考となる書類(例・債権者一覧表、債権者集会の議事録、営業日誌・事故報告書等の社内資料等)。
貸倒引当金は、現に存在している不良債権に対して計上するものではなく、将来(翌年内)に発生するかもしれない貸倒れに備えるものです。
また個々の取引先ごとに設定するのではなく会社の債権全体を一つとみて計算します。
したがって、まったく優良得意先ばかりで貸倒れが発生する危険のない会社でも貸倒引当金を計上できることに特徴があります。
有利なポイントについて触れます。
貸倒引当金を設定する範囲を拡大する=通常、売掛金、受取手形(裏書して譲渡済みの手形、割引手形、先日付小切手を含む)、未収入金(未収手数料や未収加工料など)を貸倒引当金の対象とします。
これらの債権を「貸金」と呼びますが、工夫次第でこの貸金を広げることができます。
期末に現先取引を行う=債券やCDの現物先物取引(現先取引)を行うと、経理処理は有価証 券として処理しても実質は貸付金と同じなので貸金に該当します。
グループ間取引の利用=メーカーが、これまでの販売ルートに、販売子会社を介在させると、貸倒引当金をメーカーと販売子会社の両方で計上できます。
設定対象債権とならない場合に注意=保証金、前渡金、敷金、預金、未収利息、交際費の前渡し分は貸倒れの危険がないことから貸金としません。
また、税金の還付未収金(法人税、源泉所 得税、消費税等)は貸金に含まれません(官庁への売掛金等は貸金となる)。
なお、債権がある取引先に対して債務がある場合は、債権から債務を控除した残額のみが対象となります。
対象外となった債権を「実質的に債権とみられないもの」と呼びます。
なお、実質的に債権とみられないものの額を個別に計算せずに、簡便計算法を使うこともできます。
貸倒率の有利な使い方=会社は、業種別の貸倒率(卸小売業一%、製造業〇・八%、金融保険業〇・三%、その他〇・六%)を使うか、会社の過去三年間の実績貸倒率の平均値を使うか、どちらでも毎年度自由に選べます。
そこで貸倒実績がかなり多い会社は後者のほうを選ぶほうが有利です。
なお中小企業(資本金一億円以下の普通法人)については、特に優遇策として、前述の業種別の貸倒率の一六倍の率を使うことができます。
「退職金倒産」とならぬよう税務上有利な方法で資金対策をしておく必要があります。
また、退職金の打ち切り支給の使い方を研究すべきです。
簡単な節税対策に、未払給与などの計上があります。
しかし、未払賞与の計上は注意が必要です。
保険料・地代などは一括前払いで費用計上できます。
福利厚生費は金額は小さいのに税務上の取扱いは面倒です。
法人税の扱いは図表化しましたのでチェックリストにしてください。
ある中堅企業の人事担当役員が「いま従業員が半分やめてまともに退職金を支払ったら、うちの会社は倒産してしまう」と冗談まじりに話していました。
しかし、あながち冗談とばかりはいい切れません。
会社が将来支払う退職金の額は、バブルの時代のベースアップがハネ返って勤続年数とともにどんどん膨らんでいます。
この退職金債務に対する資金手当が万全かというと、低成長時代ではそうでない企業が大半です。
これまでは従業員の年齢構成も若いため、定年退職者の数も少なく、実際の支給額は少なくてすんだ会社も、年齢構成が高齢化するにしたがって、増え続ける定年退職者(選択定年制を含む)への退職金の支払いは、大きな負担となってきます。
そこで退職金制度を給与制度と切り離すことを考えている会社もある一方で、給与水準の見直しと定年延長制度の組み合わせや早期退職制度と社内年金制度の組み合わせで退職金の支払いをできるだけ先送りすることを実施している会社もあるくらいです。
いまや「退職金倒産」の時代に入っています。
法人税法では将来の従業員の退職金支給に備えるため、勤続年数が増加するのに応じて毎年度一定額の退職給与引当金計上を認めています。
退職給与引当金の特徴をいくつかあげると、退職給与支給規程が必要であること、対象は従業員で使用人兼務役員(たとえば取締役人事部長)を含まないこと、積立時に現金支出を伴わず損金計上できるが、逆に将来資金対策を別途心配する必要があること、積立額を損金計上するためには計上基準に従うこと、正当な理由がないのに規定どおり退職金を支給しないと(たとえ一人でも)、引当金の残高全部を取り崩さなくてはならないため、節税になるからといって安易に積み立ててはいけないこと、などがあります。
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